3.14【ブルータス&カシウス】
「うわ、これお前が作ったの? すっげー!」
「……別に」
ブルータスはカシウスに手渡された大きな箱の中を少しのぞいて感嘆の声を上げた。中にはカシウスの苦心の作、見た目も華やかなチョコレート色のホールケーキが入っている。
「マジで、嬉しい! ありがとな!」
「…………(照)」
照れ笑いを浮かべるカシウスが可愛くて、ブルータスが隙をついてキスをしようとした時。はずみでケーキの箱が落ちた。ぐしゃっと嫌な音がした。
「……!!」
「あっやべ……(汗)」
呆然と床に落ちたケーキの箱を見つめるカシウスの瞳がたちまちに潤んでいく。ブルータスはサァーっと青ざめた。ブルータスが謝罪の言葉を発する前に、カシウスの瞳から涙がこぼれ落ちた。
「あ、ありえない……なんでこういう時にしようとすんの……」
「ご、ごめん! 悪い! でも大丈夫、ほら、大して形崩れてないし……」
「……うっ…うぅ……でも落ちたもん。……ブルータスの馬鹿ぁ…………空気読めし……(ボソ)」
「わぁー! ごめん、ごめんってば!!(なんか怖い!/汗) 本当ごめんな、カシウス。折角一生懸命作ってくれたのに」
「…………」
「カ、カシウス?(汗)」
「……もう一回、ちゃんとキスしてくれたら許す……」
「…………(汗)」
「……何、その顔」
「全く、お前は……(汗)」
今度はしっかりケーキの箱を持ちながら、ブルータスは空いているほうの手でカシウスの頭を抱えゆっくりとキスをした。唇が離れればカシウスは最初に見せたのと同じ可愛らしい照れ笑いを浮かべる。
……恋愛って難しい、と心の中で苦笑しつつ、ブルータスは満更でもなさそうにため息をついたのだった。